愚にもつかない話



ここには、しょうもない話などを置いておきます。

・ONKYO D-P1(GX-500HD) オーバーホール

ONKYOが会社として怪しくなってきた潰れたので、自力でオーバーホールする人のために。

長年使いこまれてヘタって来たD-P1(GX-500HD)ですが、以下の症状が出やすいです。
・スピーカーリレーの接触不良による左右音量の不良、無音
・ボリュームのガリ
・キュ~という発振音
・三端子レギュレーターのパンクによる故障

D-P1(GX-500HD)は放熱設計がギリギリで、熱による不具合を起こしやすいようです。
(D-P1の後に出たGX-500HDはD-P1と筐体の色が違うだけの同等品です。一 部搭載されている抵抗が酸金に変更になっていた以外、基板のシルクに記載されている型番もリビジョンもD-P1とGX-500HDで同一です。)
夏場気温が40℃に達するような環境で使用した場合、内臓アンプが暴走します。
また、電解コンデンサも85℃品で1000時間が寿命とすると、ほぼ密閉されたスピーカー内は夏場以外50℃前後での運用と想定され、1日8時間使用だと4年 ほどで性能劣化が目立つようになると予想されます。
電解コンデンサの交換も、今年(2023)になって、各メーカーが10uF以下の小さな電解コンデンサの製造を終了するとアナウンスを始めたこともあり、 交換部品の入手が困難になっていくでしょう。
電子部品の劣化による故障は一応まだ修理が可能です。
現状どうしようもない故障は、正面LEDの点滅やリモコンによるボリューム制御なんかを受け持つワンチップマイコンが故障です。
(ワンチップマイコンを外して、電源ONから数秒後にリレーONにする回路と置き換えて何とか使えるようにすることはできますが、リモコンは完全に使えなくな ります。)

ここでは、故障個所をオシロスコープで探って修理箇所を特定といった技術者的なアプローチではなく、とにかくD-P1(GX-500HD)はほぼここが壊れ る、といった弱点からピンポイントで長年使ったらここは交換しておけ、
という視点で、メンテナンス個所を限定してメンテナンスしていきます。

ここを見てメンテナンス・修理を試みようと思われる方へ

以下の4点の部材は必ず事前に用意してください
・吸音材(難燃性・自己消火性必須)
・放熱用シリコングリス(もしくはTO-220用熱伝導シート、グリスの方が高性能です)
・接点復活剤
・日本圧着端子 コネクタハウジング VHR-4N

何故これらの部材が必要かといえば、
・裏蓋を開けて基板を引き出した時点で筐体に詰められている樹脂のスポンジ状の劣化した吸音材が砂のように崩れて再利用ができないこと
・基盤を引き出したからには最低限、壊れやすい三端子レギュレーターのヒートシンクとの熱伝導を上げるためにグリス塗布はやっておきたいこと
・高温にさらされた筐体内部のコネクタ接点は劣化して著しく接触が悪くなっていることが多いので接点の洗浄と復活剤塗布は行っておきたいこと
・トランスからの接続に使われているVHコネクタは最も熱による劣化の激しい場所にあり、外そうとするとほぼ割れること
という理由があります。

安易に準備もなく基板を引き出して分解を試みると、これらがないと元に戻せなくなる恐れがあります。
特に吸音材は裏蓋を開ける前に必ず用意することをお勧めします。
オリジナルと同じスポンジ状の吸音材は見つけられなかったので、私は東京防音のホワイトキューオン ESW-430-500というものを利用しています。
他のものを利用する場合は、難燃性・自己消火性のある吸音材を利用してください。
内部に100Vを引き込んでいる機器です、火災が起きないよう可燃性の素材は避けてください。
吸音材の貼り付けは、並行面同士で音が反射しあうのを防ぐためなので、広い並行面を覆うように吸音材を貼り付けます。
基板面でヒートシンクなど形状が凸凹しているところはそれ自身が吸音材のような役目を果たすので無理に吸音材を貼り付けず放熱重視で空間を作ってやってくださ い。
下面基板の部品のあまり実装されてない底面や、トランスの筐体空間に向く平面は吸音材で覆ってください。
円筒のダクトは塞がないように、またスピーカーユニット裏面も完全に覆いつくさずに音圧が筐体内の空間からダクトに抜けるよう隙間を作ってやるとよいでしょ う。
現状、私の耳ではこれで組みなおした音を聞いても違和感がありません。


これまで数台、D-P1、GX-500HDを分解整備してみて、よくある不具合と対策案を次に示します。

[音量を上げた時の低音のビビリがひどい]
電解コンデンサの劣化:全電解コンデンサ交換
リレーの劣化:リレー交換、もしくは分解整備

[電源を入れると赤LED点滅で起動しない]
三端子レギュレーターの故障:三端子レギュレータ交換
トランジスタの故障:2SA1837、2SC3421のチェック、交換及びヒートシンク追加
電解コンデンサの劣化:全電解コンデンサ交換

[電源を入れて小さな音では鳴るが、ボリュームを上げたりするとLEDが赤点滅に変わりリレーが切れて音がしなくなる]
トランジスタの劣化:2SA1837、2SC3421のチェック、交換及びヒートシンク追加
FETの劣化:IRF6665のチェック、交換及び放熱シート交換

[電源を入れてしばらくするとボリュームに依存しないキュ~という小さな発振音がする、発振音は右、左、もしくは両方]
トランジスタの故障:2SC2235-Y(後期型では2SC4793) 、2SC4793のチェック、交換及びヒートシンク追加
ツェナダイオードの故障:降伏電圧22V、9.1V 300mWのチェック、交換
電解コンデンサの劣化:全電解コンデンサ交換
FETの劣化:IRF6665のチェック、交換及び放熱シート交換
※基本、劣化焼損しやすいコンデンサとトランジスタの交換をすべて行い、それでも発振が止まらない場合はIRF6665を疑います。
IRF6665の交換は作業難易度が高いので電源を入れて機器が温まると発振が止まる場合は、我慢してそのまま使うのも手です。
IRF6665のヒートシンクをより放熱性の高いものに交換すると発振に至らなくなる場合もあります。

[電源を入れた後、音がでない、何度か電源を入り切りすると出るようになることがある、片側だけ時々音がでない]
リレーの劣化:リレー交換、もしくは分解整備

[ボリュームを回すとガリが出る]
ボリューム内部の接触不良:ボリュームの分解整備

ここで、狭い筐体内にこもる熱気で激しく劣化してこれらの不具合のほとんどに出てくる電解コンデンサの交換について交換した際の購入例を下の表に示します。
熱がこもって劣化が激しいことを考慮してオリジナルより長く持たせるべく105℃品を選択しています。
オリジナルの東信工業製オーディオグレードの電解コンデンサは、現状入手不能です。
また、6800μFの大型コンデンサもニッケミ特注品なので入手不能です。
このオ リジナルのONKYO6800μF電解コンデンサは他が激しく劣化していたにもかかわらずほとんどの場合容量抜けを起こしていなかったので、交換難度も高いためそのまま交 換せずに使えるうちは使うことをお勧めします。
どうしても交換したい場合は85℃品のニチコンKWシリーズを秋月電子などで購入してください。
直径25φ端子間12.5mmのものであれば付きます。

電解コンデンサの劣化の目安を知りたい場合は、100μFあたりの適当な電解コンデンサを外して容量を測ってみてください。
一般的に公称値の7割を割っていたら寿命です。
経験上、この基板の設計者は発熱で電解コンデンサがすぐ劣化するのを見越して平滑用途の小容量のものは適正値の倍くらいで搭載しているように見えます。


下の表の推奨代替品のうち、一部耐電圧を上位のものにまとめているもの(6.3V->10V、16V->25V等)があります。
電解コンデンサで入手難な小容量のものはフィルムコンデンサで代用しています。
2023年に大手コンデンサメーカーが小容量小型の電解コンデンサの生産を終了、大幅縮小することを発表しました。
下記の表のいくつかは入手困難になっていくかもしれません。
割り切って、オーディオグレードではない汎用品を使うのも手です。
かかる費用が汎用品だとかなり抑えられます。
オーディオグレードと汎用品を比較した場合、出てくる音を聞き分けられるのは相当のオーディオマニアだけでしょう。
何せ、聞き分けられたとしても、このD-P1、GX-500HDは激しい発熱のせいで短期間に電解コンデンサの容量がごっそり抜けて新品の時の性能は数週間保 てるかどうかです。
正常に音が鳴る、を目的に修理、メンテナンスを行った方がよいと思います。

オリジナル 代 替 105℃品
電圧 容 量 個 数 メー カーシリーズ 直 径 メー カー シ リーズ 直 径
50 0.47 1 ニ チコンVR 5 (フィ ルム代替)  
50 1 3 東 信工業 UTSP?  5 (フィ ルム代替)  
6.3 330 5 ニ チコンMUSE? 6.3 ニ チコン KT 8
10 100 4 東 信工業 UTSP?  5 ニ チコン KT 5
10 220 1 東 信工業 UTSP?  6.3 ニ チコン KT 6.3
25 47 7 東 信工業 UTSP?  5 ニ チコン KT 5
25 100 12 東 信工業 UTSP?  6.3 ニ チコン KT 6.3
25 220 1 東 信工業 UTSP?  8 ニ チコン KT 8
50 2.2 2 東 信工業 UTSP?  5 ニ チコン KT 5
50 3.3 1 ニ チコンMUSE? 5 ニ チコン KT 5
50 10 3 東 信工業 UTSP?  5 ニ チコン KT 5
50 22 21 東 信工業 UTSP?  5 ニ チコン KT 5
50 47 4 東 信工業 UTSP?  6.3 ニ チコン KT 6.3
50 100 2 東 信工業 UTSP?  8 ニ チコン KT 8
6.3 47 1 ニ チコンVR 5 東 信 UTWE 5
6.3 100 3 ニ チコンVR 5 東 信 UTWE 5
6.3 220 4 ニ チコンVR 5 東 信 UTWE 6.3
16 220 1 ニ チコンVR 6.3 東 信 UTWE 6.3
16 330 2 ニ チコンVR 8 東 信 UTWE 8
16 470 2 ニ チコンVR 8 東 信 UTWE 8
35 1000 1 ニ チコンVR 12.5 東 信 UTWE 12.5
50 10 2 ニ チコンVR 5 東 信 UTWE 5
50 6800 2 ニッ ケミ特注品 25 Panasonic
ニチコン
TS-HA
GU
25
25


50W級の温調ハンダこて、自動ハンダ吸い取り器、基板用ヒートガン等をお持ちでない方は、基板から部品を取り外す作業に手を出してはいけません。
ハンダ吸い取り線などでの作業はパターンをはがして壊すのがオチです。
特に電源部の6800μFのコンデンサは、ハンダの取り扱いに関してそれなりの経験がないと元に戻せませんので機材と腕と経験がそろっていて初めてできる作業 になります。
手際よく作業できないと基板を焼いて修理不能となり後悔する羽目になります。

また、交換用の電解コンデンサですが、基本的に同等品を選定して使ってください。
低ESRコンデンサ・固体ポリマーコンデンサは、そのまま代替できる高性能な電解コンデンサではありません。
特性や回路を理解していないと使いどころによっては不具合、故障の原因になります。
D-P1(GX-500HD)に使われている電解コンデンサは、標準品とオーディオグレードで、低ESR品はありません。
固体ポリマーコンデンサは、周波数特性に優れ超低ESRですが漏れ電流が多くコンデンサ自体が発熱しやすい特徴があります。
漏れ電流が多いことからオーディオの音楽信号の通るカップリング用途には向きません。
下のほうにコンデンサの位置と耐電圧・容量を記した図のニチコンVRのコンデンサはデジタル回路の電源に使用されているものがほとんどですので容量の大きいものは 置き換えても問題ないとは思います。
ただし、三端子レギュレーターなどは低ESRコンデンサに対応していないものもあり、場合によっては発振の原因になるので発振が認められた場合は普通の電解コ ンデンサに戻しましょう。
また、交換作業をする際にヒートシンク付きの三端子レギュレーター付近及び発熱による故障の起きやすい2SC2235、2SC4793付近に密集している電解 コンデンサは高温でものすごく劣化が進むため、基板背面に移設してやると多少劣化が抑えられる可能性が高いので可能な方は基板背面への移設を検討されるとよい でしょう。


次に、よくある故障で基板上の背の高いアルミヒートシンクのついた三端子レギュレーター2個が故障したために、電源を入れると赤色LEDの点滅のままになると いう ものがあります。
28Vを入力しているのでチンチンに熱くなるのですが、ほぼ密閉された筐体の中で熱がこもり焼損する例が多いようです。
困ったことに、この三端子レギュレーターはヒートシンクにねじ止めされているだけで、熱伝導シートもグリスも 使われていません。
故障している場合は三端子レギュレーターを交換、故障していなくても一旦外してヒートシンクとレギュレーターの接触面に放熱グリスを塗布してください。

多少故障しにくくなるはずです。
この三端子レギュレーターのオリジナルはKIA7815APとKIA7915Pという韓国メーカーの三端子レギュレーターですが、すでに廃番で入手難です。
後期型では、JRC NJM78M15FA及びNJM79M15FAが採用されているようですが、2019年をもって製造終了しており入手難です。
代替品としてLM7815CV及びLM7915CVを利用するか、可変タイプのものを適切な電圧が出るように設定してとりつけるしかありません。
その他ピン互換の三端子レギュレーターを使う場合は背面タブが金属製の場合、そのタブがGNDかどうか、ヒートシンク本体と電気的に接続されて問題ないかは必 ず確認してください。
三端子といっても接続が異なるものがまれに存在します。
最近流行の超ローノイズ電源の類を付ける改造は入力電圧に注意してください。
入力が28Vと結構電圧が高いので物によっては耐圧が不足します。


年数が経ったD-P1、GX-500HDの持病ともいえるほぼ確実に故障している発熱の激しいトランジスタ、ツェナダイオードについて述べます。
シルクQ9808についている2SC2235-Y(後期型では2SC4793)が、基板を焦がすほど発熱して周りの部品を焼いて故障の原因になっている個体が 非常に多く見受けられます。
シルクD9806のツェナダイオードがこの発熱の巻き添えを食って大抵焼損しています。
また、周辺の電解コンデンサはドライアップを通り越して容量がゼロになっているものまであります。
電解コンデンサの交換は当然として、このトランジスタとツェナコンデンサは、問答無用で新品の2SC4793(代替TTC011B)、及び NXP BZX384-C22、もしくは22Vで300mW以上の許容電力があるツェナダイオードに交換してください。
新品に交換する際は、できれば2SC4793(代替TTC011B)の足は延長して部品密集地帯の上に逃がし、大きめのヒートシンクを付けることをお勧めしま す。
大改造を許容できる方は、一番発熱する2SC2235-Y(後期型では2SC4793)の足を延長し、バックパネルの鉄板に熱伝導接着剤などで直接貼り付けて しまうのも手です。
また、バックパネル鉄板に穴を開けヒートパイプなどで高温を筐体外に持ち出して放熱する、またはペルチェ素子冷却などといった力業もあります。

このトランジスタが故障すると、パワーアンプが動作しなくなり音が出なくなります。
ここでいうTTC011Bは、現在廃番の2SC4793の後継トランジスタです。
オリジナルの2SC4793へこだわりがない場合はTTC011Bの方が安く入手でき、また中華サイトなどでパチモノをつかまされずに済みます。
ツェナダイオードは電源投入時や電圧が暴れた時の安全装置なので、基板全体が正常動作していればあってもなくても音は出ます。
半端に壊れかけると、発振の原因となって例のボリュームに依存しないキュ~音の原因になります。
この辺の半導体は負荷が大きくなって発熱して初めて故障の症状が出るなんてことも多く、テスターなどでの動作試験はあまり役に立たないので壊れるものだとして 問答無用で交換してしまって構いません。

もし、発振音などが改善されない場合は、近傍の2SC4793とシルクD9805のツェナダイオードも劣化しておかしな動作をしている場合があるのでこちらも 交換してみてください。
こちらの2SC4793は上記のトランジスタよりは発熱しないものの、やはりそれなりには熱くなるのでヒートシンク装着をお勧めします。
D9805はROHM UDZS9.1BもしくはNXP BZX384-B9V1、200mW 9.1Vのツェナダイオードです。
これら2つのツェナダイオードは結構ギリギリの電圧で使用されているため、品質にばらつきがあったり、温度による影響を受けやすかったりするものを使うと、例 のキュ~という発振音の元になります。
どうしても発振音が消えない場合は電源投入時の過電圧保護だから、と故障確率が上がるのに目をつぶってそれぞれ24V、10Vと1段上の電圧の物を使うか完全 に外してしまうのも手です。

そこそこ熱をもち、また故障の原因にもなっていたトランジスタがあと2つあります。
2SA1837、2SC3421です。
こちらのラインはワンチップマイコンで監視対象になっているようで、故障するとリレーが切れてLEDが赤色点滅になります。
壊れ方によっては大音量になると突然保護が働いてリレーが切れ、LEDが赤色点滅になる場合もあります。
部品密集地に鎮座しているので、交換する場合は周辺の電解コンデンサを避けるように若干傾け、小型のヒートシンクを追加することをお勧めします。
なお、入手した交換用のトランジスタのhfeが低すぎる場合はヒートシンクを付けない方がよい場合もあります。
キュ~という発振音が音程が変化しながら長く続く場合などはヒートシンク無しを試してみると改善される場合があります。
これらトランジスタもすでに廃番で後継としてTTA006B、TTC004Bが出ていますので、オリジナルにこだわらないのであればそちらをお試しください。
なお、2SC4793と代替のTTC011B、2SA1837とTTA006Bはピン配置が逆なので取り付け時裏表が逆になります。
ヒートシンクがほかの部品の邪魔にならないよう向きは十分確認して取り付けてください。
現状、全てを代替トランジスタに交換して正常に音が出ています。
下の写真のヒートシンクは左が最も発熱する2SC2235-Y(後期型では2SC4793)に、右がその他発熱の大きめのトランジスタに私が追加したヒートシ ンクです。


ヒートシンク


メンテナンス後の動作確認を行う場合、下の写真のような延長ケーブルを作ると、筐体のフロントパネルとスピーカーに接続して基板をむき出しのまま動作確認が行 いやすくなります。
使用するコネクタは日本圧着端子製
・VHR-2N及びコンタクト2個、B2P-VH
・PHR-7およびコンタクト7個、B7B-PH-K-S
コンタクトと配線の圧着の工具はエンジニア製PA-21、PA-09が安価で様々な小型コンタクトの圧着に使えて便利です。

延長ケーブル
基板上の半固定抵抗で左右スピーカーのDCオフセットを調整するのには最低限この7線の延長ケーブルはあったほうがよいでしょう。



筐体の開け方は以下の写真の通りです。
切り替えと音量のつまみを引っこ抜き、背面外周11か所のねじを外して、10cmほどゆっくり引き出して下さい。
スピーカー内部のユニットとフロントパネルへの配線が2本ありますので、隙間から手を入れてコネクタを外して切り離したら、引き出した基板アッセンブリーを斜 めに傾けて完全に取り出してください。

筐体開封

電解コンデンサ交換の際に基板をフレームから外し、接着剤でガチガチに固定されているコネクタを何とか剥がしてL字型になっている基板を分離して作業に入るわ け ですが、抜いたコネクタはコネクタの端子を洗浄・接点復活剤塗布を必ず行ってください。
ただし、一見コネクタに見えて、実は抜き差しできない配線を基板に固定するためのコネクタもどきもありますので、基板上に刺さっているコネクタは、オス・メス の分割可能な樹脂ハウジング・ポストがあるか確認してください。
高温環境下で長く使われたこれらコネクタは、金属端子表面に酸化膜ができてかなり接触が悪くなっています。
もし、これが最後のメンテナンスだ、もう開けることはない、というのでしたら、基板同士を接続しているコネクタをバイパスするようにハンダで直接配線してし まったほうがトラブルが減ります。

スピーカーの片側、もしくは両側音が出ない、電源を入れなおすと直ることがある、という症状はほとんどがスピーカー保護リレーの接点不良です。
リレーに不具合がある場合は、ポン付けできる交換部品の入手は非常に困難です。
Fujitsu FTR-F4AK009Tという製品ですが廃番になって久しく、また新品で入手出来ても経年劣化でメンテナンスなしに利用できるかは怪しいところです。
こ れも廃番で入手難ですがPanasonicのALA2PF09というリレーがピン配置も同じでポン付けで使えますし、実際に基板のロッ トによってはこちらが使われています。
個人的な好みの話になりますが、リレーが動作した時の音はFujitsu製の方が往年の大型アンプのリレーと同じ音がして好きです。
一応、カバーを開けてリレー内部をメンテナンスすることは可能なので、腕に自信のある方は挑戦してみるのもいいでしょう。
例によって接着剤で基板にガチガチに固められているので、接着剤をはがすのに基板パターンを傷めないようご注意を。

大きさが違うので別途配線・固定方法を工夫しなければいけませんが、秋月電子で取り扱いのある942H-2C-9DSというリレーが流用できそうですので、オリジナルのリレーがもう交 換しないとどうにもならない、という場合はこちらを試すのも手かもしれません。

ボリュームのメンテナンスは、Youtubeなどでアンプの修理動画などを見てマネするのがよいでしょう。
接点が非常に繊細なものなので、手先が不器用な方は下手をすると壊します。
このボリュームは、モーター駆動機構のついた独自製品ぽいので交換部品の入手は絶望的です。
モーター駆動部分を除去して、フットプリントの合うALPSの製品を探せばリモコンは効かなくなりますが交換品が見つかるかもしれません。

大型コンデンサ下の銅の放熱板の下にはアンプ最終段のFETが4つ隠れています。
Infinion製のIRF6665です。
すでに廃番のため入手はAliExpressなどを頼るしかありません。
また、万が一交換が必要な場合は、ハンダを溶かせるパワーかつ細いノズルのヒートガンと、クリームはんだが必要になり難易度が高いので放熱板を含め必要なけれ ば触れないことをお勧めします。
銅の放熱板を外した際は、放熱用のシリコンシートの状態によっては放熱がうまくいかなくなりますので、0.5mm厚の新品の放熱シリコンシートを貼り直すか、 ついていたシリコンシートの裏表の接触面に放熱グリスを塗ってから放熱板を付け直してください。
放熱板を固定する爪は、基板に押し付けるように曲げ直しを行わないと放熱板がぐらぐらでまともに固定できませんのでご注意を。
交換する場合、同等のFETを基板から配線延長してとりつける方が修理は楽かもしれません。


交換部品指定
交換部品指定



D-P1 電解コンデンサ配置

MM:DAC、プリアンプ基板
FL:出力セレクタ基板
FR:制御基板(ワンチップマイコン搭載)
RT:電源・パワーアンプ基板

D-P1 基板写真 AD-P1 基板写真 BD-P1 基板写真 CD-P1 基板写真 DD-P1 基板写真 ED-P1 基板写真 F


先日、ヤフオクで左スピーカーへの端子が壊れているD-P1を格安で落札出来ました。

このスピーカー端子ですが現状ポン付けできるネジ穴ピッチ・端子位置のものが確実に購入できるサイトがありません。
秋月電子で取り扱っているものは裏面の端子が生えている部分が干渉・ショートするため、緩衝材を厚くするなどの加工が必要です。

スピーカー端子

ほぼ、というのは裏面のラグ端子が曲げないとスピーカー本体のアルミ板と接触してしまう(写真はすでに干渉しないようラグ端子を曲げています)のと、オリジ ナルのラグ端子はマイナス側が一段細いものになっているため、本体内のケーブル側の端子を合うサイズのものに変更しなくてはいけないこと、ラグ端子そのものの 厚さが薄いのでケーブル側の端子を若干潰して差し込んだ時にガタ付きが無いようにしないと音の振動で接触不良によるノイズが出る可能性が高いことです。
また、端子部の隙間が小さいとはいえ解放穴になってしまうため、音もれしないように密度の高いスポンジやラバーシートなどで穴をふさぎ、密閉状態にしてやる必 要があります。


背面の光コネクタのシャッターが経年劣化で破損して取れてしまっているのがみっともない、交換したい、という方もおられると思います。
オリジナルは東芝のTORX141L、3.3V 16MbpsというスペックのTOS-LINKコネクタが使われていますが、現在東芝はこれらTOS-LINKコネクタの製造をしていないので、入手困難なうえ、入手出来 てもすでに年代物なために脆く、またすぐにシャッターが破損して鼬ごっこになりかねません。
形状がほぼ同一で、ポン付け交換できる台湾製の上位互換品が流通しています。
DLR2180という型番で2~5V対応 25MbpsのものがamazonやAliExpressで数百円から購入できますので、交換品を求めている方はこちらを買われるとよいでしょう。
購入の際、発送元が中国の場合、相手の業者が電子部品のド素人で、互換品のつもりでスペック違いのものを送ってくることがよくあるので購入ページの悪評は購入 前にチェックすることをお勧めします。
これら台湾製のTOS-LINKコネクタは、本体に刻印された型式名らしきものが、送信用も受信用も電圧も通信速度も、何かが違っても全部一緒、という代物が 流通しているので、届いて通電チェックしてみるまで本当に注文したものなのかわかりません。
シャッターのないものであれば秋月電子などで互換性のありそうな光コネクタPLR135/Tが販売されています。
こちらは対応速度が16Mbpsで数字上は問題ありませんが、192KHzの信号を扱ったときに万が一出力波形がなまっている場合、ジジジ・・・といったノイ ズが連続的に入る可能性があります。
光送信側の品質にも大きく影響を受ける部分なので、機器による相性が出やすくなるかもしれません。
こちらは試していないのでこれも使われた方は人柱報告をぜひお願いします。


昨年の夏(2023)は猛暑で、室温40度近い中ではD-P1も熱暴走しました。
そこでリサイクルショップで8cmの12Vファンと適当なUSBケーブルを買ってきて12Vファンを5Vで静音駆動してD-P1の冷却を試みたのですが、気休 めにしかならないかと思いきや、これを取り付けて以来一度も熱暴走を起こさなくなったので効果はあるようです。
写真のように木ねじで足を付け、木ねじの末端には磁石を接着してD-P1のバックパネル鉄板に磁力でとりつくようにしてあります。
騒音はPCがすぐ下で動作しているのでそちらの騒音の方が大きく全く気にならないですね。

冷却


結構な期間D-P1、GX-500HDをいじってきましたが、こいつらの欠点つぶしを含めた修理・メンテナンスはこれでひとまず終了としたいと思います。
初めて聞いた時に、これは!と感動を与えてくれたD-P1、GX-500HDを末永く愛してくれる方たちのために役立てば幸いです。(2024/1/14)


・ONKYO GX-D90 電解コンデンサ配置

ONKYOが会社として怪しくなってきた潰れたので、自力でオーバーホールする人のために。
ざっと確認しただけで、間違いがあるやもしれませんので、あくまで参考程度で。

GX-D90 電解コンデンサ配置 AGX-D90 電解コンデンサ配置 B



・CATEYE SL-LD210分解記

CATEYEのソーラーLEDテールランプSL-LD210が故障したのか点灯しなくなったので分解します。
透明な上蓋は、強力な接着剤で固定されています。
バネ鋼の一番強力なケースオープナーでも開きません。
万力で挟んでケースを歪めて接着剤を剥がす&樹脂を割って開けます。

基板固定にはこれまた分解防止か、鋲タイプのネジが使われています。
使えなくなったニッパで鋲頭をつかみ、普通のネジと同じように反時計回りに回すと抜けます。
モザイクは反射でいろいろ映り込んですからですw

基板が出てきました。
意外と部品点数が多いです。
電池にあたる部分はHybrid Capacitor 2.3V 22Fというものがついていました。
スーパーキャパシタの親戚で、リチウムを使ったタイプでしょうか。
太陽光を当てるとじわじわ電圧が上がっていきます。
故障原因は、中央の振動センサーのようです。
端子をショートさせると点滅が始まりましたが、振動では無反応です。

泥除け取り付けタイプの同社のTL-SLR120ソーラーテールランプは40mAhのニッケル水素電池が交換できるようになっていましたが、そちらはそちら で防水がダメで錆びて接触不良起こしたり、電池が数年もたなかったりといろいろあります。
実のところ、自動点灯型の電池式が気付いたら点灯してなかったというのがなく、明るく目立ちやすいので、家族の自転車にはもっぱら電池式を付けています。



・IRIS OYAMA 蛍光管型LED リモコン修理

部屋のシーリングライトに入れてある蛍光管型LEDのリモコンの動作がどうにも怪しく反応したりしなかったりするので修理してみましょう。
リモコンは薄っぺらく、表面を見る限りネジがないので、ボタン側のシートをケースオープナーでめりめりと剥がしてみました。
中身は写真のような感じ。
パッと見て、ああ、これじゃ強度が足りなくて基板歪むから、ハンダクラックだろうな、とあたりを付けて、全部のハンダを吸いとって、鉛ハンダに付け替え。
鉛フリーハンダは、本当に粘りがなくて、繰り返し基板の歪みが加わると割れるので、こんな構造じゃそりゃ割れるでしょう、と。

ハンダし終わったら、案の定普通に動くようになりましたとさ。

さて、ここの内容は増えるでしょうか。

もどりゅ


滅多に見ませんが、何か連絡があるなら下記に書き込むと返事をすることがあるかもしれません。
あまり期待しないでください。
BBS

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